3Dプリントで家を造るとは?

従来の作製方法とは全く異なるアプローチで私たちのこれまでの常識を次々と覆す技術、3Dプリンティング。この技術により、家が人々の手に届きやすくなる日が近づいています。

3Dプリントでは、従来の製造方法では不可能であった形状が作製可能であったり、時間短縮・コスト削減につながったりと、そのメリットを活かして様々な業界に取り入れられています。

建設・建築業も例外ではなく、このメリットを利用して新たな可能性を広げているのです。

早く安く

上海の企業WinSunは、既に2014年から3Dプリント製の家の建設開発を進めています。

その建設のスピードとコストは驚くべきもので、24時間のうちに10軒を3Dプリントし、1軒あたり4,800ドル(約53万円)のコストを実現しました。

また、WinSunは、建設から出た廃棄物をリサイクルした材料を利用したコンクリート骨材を使用しています。安価な住宅の提供や環境配慮など、3Dプリントの住宅建設への道を見せました。

ホームレスのない世界へ

人道援助にも使われ始めている3Dプリント技術。

アメリカ・テキサス州の非営利団体のNew Storyは、建設企業のICONと共同し、3Dプリントで家を安く早く建設することで、貧困により家のない人々に住居を提供するプロジェクトを進めています。

All3DPによれば、New StoryとICONは既にテキサス州にて3Dプリント製住宅を建てており、2019年のうちに中央アメリカの国エルサルバドルに100軒の3Dプリント製住宅を建てることを計画しています。

彼らの3Dプリント製住宅は1軒を24時間で建設することができとのことです。また、建設コストは4千ドル(約44万円)にまで下げることを目標としています。

家のない人々に安心して生活できる住居を提供するため、3Dプリントにより早く安く家を建設するというソリューションが進められています。

大量生産も

オランダのアイントホーフェンでは、ヨーロッパ初の工業用コンクリート3Dプリント施設が開設されました。

以前、弊社ブログにてご紹介させていただきましたが、これはWeber Beamix(材料会社)とBAM Infra(建設会社)が共同で開設したもので、ここでは建設用のコンクリートパーツを3Dプリントで製造し、主に家や橋の建設に使われる予定です。

3Dプリントを利用した家が大量生産される日も近いかもしれません。

宇宙にも家を

3Dプリントによる建築技術は、地球上に留まりません。

盛り上がりを見せる民間宇宙企業の背景には、3Dプリントの技術があります。ロケットのエンジンや部品などの製造に3Dプリントが利用されていますが、宇宙に建造物を建てる研究開発にも3Dプリント技術が大きな役割を担っています。

先月に行われた弊社主催のイベント「3D Printing特区」では、宇宙建築ベンチャー株式会社OUTSENSE様をお招きして「宇宙建造物と3Dプリント」についてお話しました。

そこでもご紹介いたしましたが、宇宙空間に物資を輸送する方法はロケットのみであり、そのコストは非常に高く、少量の物資しか運ぶことができません。そこで、宇宙空間に3Dプリンターを送り込めば、あとは輸送するのは素材のみ、製造もリペアも宇宙空間その場でできてしまいます。そうすれば、火星や月の上でも建造物の建設が可能になるというわけです。

また、NASAは「3D-Printed Habitat Competition」という、宇宙開発・火星探査のための3Dプリンティングを利用した火星上の基地のデザインを競うコンテストを開催しました。

このことからも分かる通り、宇宙建築に3Dプリント技術が欠かせないのです。

魔法のソリューションではない

ただし、他の業界でも言えることですが、3Dプリントはそれだけで全てが造れてしまうような魔法のソリューションではありません。窓や床、配管や電気など、3Dプリントでは補えない要素があります。

部品や鋳型など、3Dプリントを利用した方が効率的なものの製造を3Dプリントで行い、目的によっては他の技術と併用することが最適な3Dプリント技術の利用方法と言えます。

Fabbalooでも指摘があるように、ただコンクリートを3Dプリントして残りのプロセスを従来通りのままにしておくのではなく、建設プロセスを自動化するための方法、例えばロボットの導入など、更なる改善方法や画期的なソリューションを考えていくことが必要となります。

また、日本は地震が多く、海外に比べて建築基準法が厳しいため、既に海外で見られる3Dプリントによる建設例をそのまま日本に導入することは少しハードルが高いようです。

しかし、ここで諦めたり、建造物の建設を全て3Dプリントで行おうとしたりするのではなく、他の技術と併せて様々な角度から、3Dプリント技術を取り入れるアプローチを試みることが大切であると思われます。日本の建築基準法を守りながらも、3Dプリント技術を利用して効率的に建設ができるようなソリューション開発を目指して、日本における研究開発が進むことを期待しています。

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