【研究開発紹介】3Dプリント製 炭素繊維ホイール

3Dプリンティング技術は、試作技術から製造技術へと変化しており、常に急速に進化しています。

世界から発信される最新情報や最先端技術を取り入れることももちろん大切ですが、先駆者になるには何年か先を見据えて行動することが必要です。

3D Printing Corporationでは、3Dプリンターラボに工業向け3Dプリンターを揃えており、研究・開発を行っています。3Dプリンティング技術を使用し、従来の考え方や方法に囚われないアプローチで全く新しい製品や技術の開発に取り組んでいます。

今回は、3DPCにて製作したエコノムーブに使用される3Dプリント製 炭素繊維ホイールをご紹介いたします。

3Dプリント製 炭素繊維ホイール

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今回製作したものはエコノムーブに使われるホイールです。

エコノムーブとは、電気自動車(EV)の一種であり、究極の電費を目指すエコラン競技車両のことです。与えられる電力は一定であり、制限時間内にどれだけの距離を走れるかを競います。

この競技では究極の低消費を競うため、かなりの軽量化を求められる世界です。人1人を載せて動くにもかかわらず車体総重量は15kg程度しかなく、消費電力72Wで45km/hもの速度で走行します。

従来のエコノムーブのホイールとして、トップチームはジュラルミンホイールまたはカーボンホイールを使用しています。

私たちは、ホイールの更なる軽量化、製造の効率化を図るため、今回、Markforged社の3Dプリンター「X7」(工業向け・複合材料3Dプリンター)を使用し、炭素繊維ホイールを作製しました。

従来のホイールおよび今回作製したホイールそれぞれの特徴を以下の表にて比較しています。

DFAM(3D造形のための特殊設計)を用い、3Dプリンターで作製することにより、材料費を抑えながら軽量化を実現し、何より製作が容易になるため人件費も抑えることが可能になります。

A2024ホイール(削りだし)
カーボンホイール
炭素繊維3Dプリントホイール
重量
607.5g
450g
340.5g
材料費
3万円程度
不明
$270 (約29,500円)
必要設備
旋盤・フライス盤・放電加工機
金属型(費用13,000円強)、真空引き設備
Markforged X7 3Dプリンター
販売価格
約15万円/本
未定
コメント
旋盤、フライス盤には技術が必要になるものの、数年加工機を使った人であれば製作可能。切削時間が非常に長く手間と時間、機械稼働時間が長い。実際に加工を依頼すると制作費用で15万弱/本。 製作ノウハウがかなり必要。GHクラフトにより製作されており、通常の人には製造が困難。業界でカーボンホイールはGHクラフトによるもののみ。 ボタンを押せば誰でも製作できる。機械稼働時間は4日弱。
3Dプリント製CFホイール(左)とA2024ホイール(右)

3Dプリント製CFホイール(左)とA2024ホイール(右)

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更なる開発へ:エアレスタイヤ

現在、業界ではIRC社が製作したエコラン用低燃費スリックタイヤ(溝なしタイヤ)のみが使用されています。これはチューブタイヤであり、中のチューブは自作しているものの、ここでの転がり抵抗改善はどのチームもできていません。

また、この競技においてはパンク修理のできない大会があり、パンクが起きた時点がそのまま記録となってしまったり、もし交換できるとしても3輪であるがゆえにピットまで戻れず、大幅なタイムロスとなってしまったりすることがあります。

さらに、雨の日には、スリックゆえに大幅に空気圧を落とさざるを得ず、スリップの危険性が常にあります。雨用コンパウンドも用意されていますが、一部チームしか入手できない状況です。

これらの課題に対し、3DPCでは、3Dプリンターを使用して新たにエアレスタイヤの製作を考えています。

騒音対策が不要であり、荷重要件においても車と比べて楽であるエコノムーブの利点と、様々な形状の造形が可能な3Dプリンティング技術の利点を活かすことが出来ます。3Dプリンターでは溝の造形が簡単であり、天候路面状態に合わせた最適な形状を検討することができるため、これまでの課題を克服できるエアレスタイヤの製作が期待できます。

3D Printing Corporationでは、共同開発や、DFAM(3D造形のための特殊設計)の支援・代行を始めとしたコンサルティングを承っております。お気軽にお問い合わせください