ロックスターでも破壊できないギターの製作には、3Dプリント技術が要となりました

スウェーデンに本拠を置く工作機械メーカーSandvikが、3Dプリンターを使用して「破壊できない」金属製ギターを作製し、ギターを破壊するパフォーマンスで有名なギタリスト、イングヴェイ・マルムスティーンさんが実際にこのギターを使用して話題を呼びました。

このプロジェクトはとても面白いアイディアであると同時に、3Dプリンティングの技術の凄さと可能性を見せつけました。

その破壊できないメタル・ギターに使用された技術を見てみましょう。

スウェーデンの工作機械メーカーSandvikで働くHenrick Loikkanenさんは、機械加工プロセスの開発者であると同時に、スウェーデン出身の驚異的な速弾きで有名なギタリスト、イングヴェイ・マルムスティーンさんの大ファンです。Loikkanenさんは、ギターを壊すパフォーマンスでも知られるマルムスティーンさんから着想を得て、破壊できないギターの製作プロジェクトが始まりました。


ネックのない新しい設計

LoikkanenさんはYoutubeで映像を見て、ギターがどのように破壊されるのかを研究し、そこからギターのネックとボディのジョイントが弱く、ネックから折れやすいことを発見したといいます。

その対策として、Sandvikのエンジニアたちはギターのジョイント部分を無くすことに決定。代わりに、ネックと指板をリサイクルしたステンレス鋼の板から削り出して作製することにしました。従来のギターのデザインとは全く異なり、ネックと指板は長方形の「ハブ」にまで伸ばすことで、ギターのボディに深く入り込み、ネックのない設計となりました。

3Dプリンターで軽量かつ破壊できない強度を実現

ギターのボディは、軽量ながらも、ロックスターによる破壊に耐えられる強度が必要となります。これを叶えたのが3Dプリンティング技術でした。

3Dプリンターを使用することで、従来の切削加工では難しかった形状を造形することができる上に、造形物の分のみの材料を使用するので、材料の無駄が出ません。

3Dプリンティング技術にも長けているSandvikは、粉末床溶融結合方式を用いてギターのボディを製作しました。強度を出すためにチタンの粉末を使用し、人間の髪よりも薄い厚みのレイヤーを一層一層レーザーで溶融結合させながら造形されました。

3Dプリンターを使用したことにより、従来のギターに比べてより軽く、より強いボディが作製されました。


Sandvikは3Dプリント製ギターを実際にロックスターのように叩きつけるようにして、少なくとも23回の強度試験を行ったそうです。それでも壊れないことが証明され、新しいギターをマルムスティーンさんへ託しました。

マルムスティーンさんは自身のコンサートで実際にこの3Dプリントで製作されたギターを使用。そしていつものようにギターを叩きつけましたが、ギターは壊れることはありませんでした。むしろ、アンプなど他のものがこのギターにより破壊されるほどの強度でした。


実際に弾くことができ、壊れないこのギターは3Dプリンティング技術の凄さを見せてくれました。この「破壊できないギター」のロックスター以外の需要は分かりませんが、このプロジェクトは3Dプリンティング技術を使用することの可能性を世間に広めてくれました。ここからさらに着想を得て、製造業や別の分野での応用がされるかもしれません。

なお、このギターはオークションで25,000 USドルで落札され、Sandvikは落札で得たお金を国境なき技師団に寄付するとのことです。

3D Printing Corporationでは、3Dプリンティング運用を全サポートいたします。コンサルティングから受託製造まで、お気軽にご相談ください


出典元:

https://www.solidsmack.com/design/how-they-made-it-the-indestructible-3d-printed-guitar/

https://www.home.sandvik/en/news-and-media/stories/articles/2019/04/how-sandvik-made-the-worlds-first-3d-printed-smash-proof-guitar/

https://www.home.sandvik/en/news-and-media/newslist/news/2019/06/a-new-home-for-the-smash-proof-guitar/