
この度株式会社MadeHereは、米海軍演習「トライデント・ウォーリアー2025」での実証を経て、米国海兵隊補給処整備コマンド(Marine Depot Maintenance Command、以下MDMC)とインド太平洋地域における高度製造および維持支援能力の強化を目的とした「官民パートナーシップ(Public-Private Partnership:PPP)」を締結しました。
本提携は、合衆国法典第10編第2474条(10 U.S.C. § 2474)に基づき、MDMCを「産業・技術センター(CITE)」として活用する枠組みの中で実現したものです。この法的指定により、MadeHereは単なる製造委託先ではなく、米軍の製造・整備インフラを直接的に補完・拡張する「戦略的パートナー」として位置づけられます。これにより米軍の兵站インフラと一体化し、米軍デポの機能の一部を担うことで共同生産を行う画期的な体制が確立されました。
■ 背景:インド太平洋における「距離」と「供給」の課題
現在、インド太平洋地域に展開する米軍は、広大な地理的距離による「補給リードタイムの長期化」や、有事における「サプライチェーン寸断」のリスクに直面しています。また、長期間運用されている装備品の老朽化に伴い、メーカー生産終了部品(廃番部品)の調達難も深刻な課題となっていました。
米国本土からの長距離輸送に依存せず、インド太平洋の作戦エリア内で必要な部品を即座に調達できる体制の構築が急務とされています。
■ 提携の内容と技術的特長
MadeHereは、金属・樹脂の3Dプリント、CFRP(炭素繊維強化プラスチック)加工、CNC切削、射出成形など、多岐にわたる高度製造技術をワンストップで提供します。
本パートナーシップの特筆すべき点は、「デジタル製造基盤の統合」です。 2025年に実施された米海軍主催の技術演習「トライデント・ウォーリアー2025」において、MadeHereは米国防総省の「デジタル・マニュファクチャリング・エクスチェンジ(DMX)」と接続し、セキュアな環境下でデジタルデータを受信、即座に製品化する能力を実証しました。
この成功を受けて締結した本パートナーシップで、MadeHereは以下の取り組みを推進します。

■ コメント
米海兵隊補給処整備コマンド(MDMC) オペレーション・ディレクター
デビッド・アンダーソン氏
「MadeHere株式会社との協力は、極めて重要な維持上の課題を迅速かつ正確に克服する能力を直接的に強化するものです。この取り組みは、我々の高度製造の拠点を拡大し、不可欠な整備スキルを維持し、そして何よりも、最前線の海兵隊員が物的優位性を確保することを保証します」
MadeHere株式会社 CEO
アレクサンダー・デ・ヴォア
「MDMCとのこの戦略的パートナーシップは、日本の強力な産業基盤と米国の維持ニーズを結びつける重要なマイルストーンです。私たちは、サプライチェーンの強靭性と作戦即応性を高める革新的かつ高品質な製造ソリューションを提供し、インド太平洋軍(INDOPACOM)管轄内での重要スキルを保持することで、海兵隊員に相応しい決定的な物的優位性を提供することに全力を尽くします」
■今後の展望
本合意は、MadeHereが米海兵隊の維持ニーズに対し、MDMCのインフラや技術的専門知識にアクセスしながらタスクベースで支援を行う枠組みを確立するものです。 MadeHereは、第3海兵遠征軍(III MEF)をはじめとするインド太平洋地域の米軍部隊に対し、強靭なロジスティクスと革新的な装備維持・補給ソリューションを提供し、日米の防衛産業協力の深化に貢献してまいります。
【補足用語解説】
MDMC(Marine Depot Maintenance Command): 米海兵隊の装備品の重整備・オーバーホールを一手に担う組織。
10 U.S.C. § 2474(合衆国法典第10編第2474条): 米軍の補給処を「産業・技術センター(CITE)」に指定し、民間企業との提携(PPP)や設備・技術の相互利用を認める法律。
DMX(Digital Manufacturing Exchange): 米国防総省が推進する、製造データの安全な共有・交換を行うためのデジタルプラットフォーム。